からくり人形の猩々は、赤い長髪で、酒好きの中国に伝わる想像上の生き物です。謡曲「猩々」に合わせて舞い、『孝行息子である酒売りの人間の素直さを認め、酒壺に尽きることのない永久に湧き出る酒を入れ与える。いつまで飲んでも減らぬ酒。そうしているうちに秋の夜は更けていき、月も傾き、枯れた草にたたずむ猩々の足元はよろよろとして、ついには寝てしまう。気づくと、それは酒売りの夢の出来事であった。しかし、汲んでも尽きない酒壺はあり、そのおかげで酒売りの家が繁栄したのはとてもめでたいこと』という物語です。

現在の人形は、1912年(明治45年)5月から使用されており、京都で造られた作者不明の作品で、2014年(平成26年)に大規模な修理が行われています。

舞は、岐阜県大垣市岐阜町の宮崎富次郎に頼み込んで学んだとされています。本来は、2体のからくりを用いますが、現在は1体のみを使用しています。謡曲は、長年町内在住者の故人の謡いを録音し使用していましたが、2012年(平成24年)からは、能楽師の吉田篤史氏による謡いを用いています。

また、前軕に設置されている采振り人形は、1954年(昭和29年)11月1日に発行された「たか田」等に掲載されている写真には、写っていない。
采振り人形は昭和期になって新たに制作されたもので、にからくり人形師7代目玉屋庄兵衛の作品です。2017年(平成29年)に祭礼人形師の二代目萬屋仁兵衛により、衣装が新調されています。
また、昭和期には、裃を着用しており、当時の様子を描いたものが残されている。この裃は現存しており保管されている。