常盤町(旧横町)軕組が所有するのは、照鱗閣軕(しょうりんかくやま)です。

照鱗閣軕は、高田まつりで唯一の子ども歌舞伎を奉芸する軕でした。江戸後期に制作が始まり、まつりに加わりました。子ども歌舞伎は、本場の滋賀県長浜より歌舞伎役者を招いて指導を受け、披露していました。披露した演目には「鎌倉三大記」「大功記十段目」「鎌倉陣屋の段」等がありました。

子ども歌舞伎は、非常にお金のかかる芸であるため、徐々に苦しくなり、歌舞伎衣装や道具を借りるようになりました。昭和年代で、子ども歌舞伎が披露されたのは1~2回ほどです。子ども歌舞伎を行わない年は、舞台上で子どもを自由に踊らせました。その後は、軕を曳かなくなるようになり、1974年(昭和49年)に軕の老朽化を理由に正式に廃止されています。軕は軕倉で保管されており、現存しています。

廃止後は、何度か天日干しが行われ、1991年(平成3年)の高田まつりでは、飾り付けし常盤町内に据え置きました。2004年(平成16年)1月に開館した山口会館に、龍の彫刻2面が展示されています。

この軕は、高田まつりの進行に加わらないこともあり、いたずらで他の軕が挟み撃ちにし、そのまま動けなくなってしまったという逸話が残っています。また、生涯で1,000曲以上を作曲した作曲家の山口俊郎は、常盤町の出身です。

軕は、長浜型。正式な調査より前に廃止されたため、高さ、間口、奥行は不明ですが、他の軕と比較すると小柄です。

1991年(平成3年)の様子【杉浦氏提供】