采振り人形
猩々人形(左:雄、右:雌)
本楽は3体が勢ぞろい

猩々軕は3体のからくり人形が載せられています。

前軕に設置されている采振り人形は、昭和期になって新たに制作されたもので、からくり人形師七代目玉屋庄兵衛の作品です。2017年(平成29年)10月に二代目萬屋仁兵衛氏より衣装が新調されています。

からくり奉芸に用いられるのは、雄猩々と雌猩々のからくり2体です。1912年(明治45年)5月から使用されており、京都で製作された作者不明の作品です。2014年(平成26年)に、二代目萬屋仁兵衛氏より大規模な修理復元を行っています。

からくりは、謡曲「猩々」を題材にしています。
親孝行な高風という酒売りが、ある晩に不思議な夢を見ます。ある場所で酒を売れば商売繁盛するというものでした。その夢のお告げに従うと、いつも酒を買いに来るお客がいましたが、どれだけ酒を飲んでも、酔うどころか顔色一つ変えないお客がいたので、名前を聞いたところ『海中に住む猩々だ』と名乗ります。高風は猩々と酒を飲みかわそうと、海辺で猩々を待ち、海から現れた猩々と酒を飲み…。
【以下、からくりで用いる部分になります】
猩々「高風が私と飲むために待っていてくれたことは、とてもありがたいことだ。高風は心が素直で、今までの酒を売ってくれた礼に、この酒壺をお返しに贈ろう。酒は尽きることはないだろう」といいます。その後も、酌んでも尽きず、飲んでも減らない酒を飲みますが、秋の夜長といってもさすがに月の影も傾き(夜が明け)始めると、さすがに足元がふらつき、猩々ですらそのまま眠ってしまいます。いつの間にか眠ってしまった高風が目覚め、夢の出来事かと思いましたが、猩々から贈られた酒壺はそのまま残っており、高風の家は末永く繁栄しました。めでたしめでたし。という物語です。

舞は、岐阜県大垣市岐阜町の宮崎富次郎に頼み込んで学んだとされています。本来は2体ともからくりを用いますが、現在では雄猩々のみを使用しています。
謡いは、長年町内在住者の謡いを録音し使用していましたが、2012年(平成24年)からは、能楽師の吉田篤史氏による謡いを使用しています。